おこづかい500円

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帰宅時、おおきなコロコロ(スーツケース?コロコロ引くやつ)を持った女の子に声をかけられた。
20時過ぎ。
冷たい雨が降り始めた頃。

「すいません」

とても小さな声だったけど、「道に迷ったのかな?」と思い、足を止めた。
暗くてわからなかったけど、東南アジア系の若い女の子。
小さな白いカードを差し出された。
(行きたい場所の地図かな?)
と思ってみてみると、

「私は〇〇から来た留学生です。お金がなく、生活に困っています。おこづかいになればと、お菓子を作っています。500円です。協力してくれませんか?」

……正確には覚えていないけど、そのような文言が書かれていた。
普段だったら分からないけど、このコロナ禍、どこの誰かも分からない人が作ったお菓子はさすがに食べられないと、申し訳ないけど首を振って断った。

その時の、彼女の悲しそうな顔。
途方に暮れた眼差し。

あなたなら、どうしましたか?
食べなかったとしても、500円だったらと協力してあげるべきだったでしょうか。
とっさのことで、反射的に首を振ってしまった。
でも……。

どうすべきだったのか、グルグルと頭の中を彼女の白いカードが回ってる。
断ったときのカノジョの氷上を見た瞬間、選択を誤ったと思った。

ああいう時、どうすべきなんだろう。
その500円はきっと、私達日本人の500円とは意味合いが違う。

きっと私は、選択を間違えた。

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