「護られなかった者たちへ」
最後の最後まで、息もつけぬ話の展開でした。
映画ではなく、中山七里の原作での感想です。
本当は映画も見たいけど、コロナの影響もあってまだかと映画館に行く気持ちにならない。
中山七里さんの作品は母親が好きで、その関係で私も結構読んでいます。
でも、自分でこの人の本を手に取り、買ったのは初めて。
何故なら、表紙に据えられた二人の役者、佐藤健と阿部寛の対比的な写真に目を惹きつけられたからです。
佐藤健の鬼気迫る表情、寒々しく、ただ事ではない何かがこの本の中では起こっていると感じる全体の雰囲気…。
そして、「護られなかった者たちへ」という極めつけのタイトル。
本屋でこの表紙を見た瞬間に周りの音が消え、一瞬自分がどこにいるのかを忘れました。
とても考えさせられて、読み終わったあとのやるせなさと正解の見えない「人生」と「法律」の関係性。
私が当事者だったとしても、もしかしたら同じ事をしたかもしれない。それぞれの立場に立つと、それぞれに理解できる部分がある。じゃあ、どうすべきだったのか…。
答えは見つからない。
でも、きっとこの問いかけを世間に1つの波紋のように投げかけることで、きっと何かが変わるのだと信じたい。
フィクションであって、フィクションでない。
きっとこの瞬間も、同じ事が繰り返されている。
全てにおいて、一度顧みる必要があるのではないかと、しみじみと感じられた。
オススメの作品です。
映画も必ず観たい。